1 ダークパターンとは
最近、ダークパターンという言葉をニュース等でよく耳にします。
ダークパターンとは、インターネット上で商品を売る際に、購入しようとする消費者が不利な決定をするように仕向けたウェブサイトとなるように設計することです。
ダークパターンには、例えば、無料期間が終了すると自動的に有料会員に登録されるようになっているもの、一度きりの購入のように見せかけて実は定期購入になっているもの、有料会員になった後の退会手続きが煩雑になっていて簡単には退会できないような設計になっているものなど、様々な類型があります。また、「○月○日まで期間限定で〇〇%オフ」や「残り〇〇個」といった表示により、購入を急がせるものも実はダークパターンである場合もあり、皆様も一度は目にされたことがあるのではないでしょうか。
2 ダークパターンに対する法的規制
このようなダークパターンについては、海外では大きな社会問題として扱われ、これを利用したウェブサイト自体を規制する方向に進んでいます。
国内では、2022年6月1日に施行された改正特定商取引法において、詐欺的な通信販売に対する規制が強化されました。
具体的には、通信販売において、消費者が、販売業者所定様式の書面又はインターネットにより商品購入の申込みをすることを「特定申込み」と定義し、販売業者が、特定申込みを受ける際には、書面又はインターネット上の画面において、販売する商品の分量等を表示しなければならないことになりました。
これは、サブスクリプション契約が増加する中で、一回のみの購入であると思って購入したところ、実は定期購入であったという被害が増加していたためです。
この表示義務に違反した書面又は画面により、消費者が契約内容を誤認したまま商品購入の申込みをしてしまった場合には、申込みを取り消すことができるという規定も設けられました。
これにより、知らず知らずの内に定期購入の契約をしてしまうという類型については、規制の強化が図られましたが、その他の類型のダークパターンについては、十分な対策がなされているとは言えない状況となっています。
3 ダークパターンで騙されないためには
このように、法的な規制が未だ不十分な状況において、ダークパターンに合わないためには、自己防衛することが最も重要です。そのため、インターネット上で商品を購入する際には、最後に「購入する」ボタンをクリックする前に、申込みの内容を慎重に確認し、ご自身の認識と違っている点がないかを冷静に判断することが大切です。
万が一、ダークパターンと思われるウェブサイトで意図しない購入をしてしまった場合、上記のように取消権を行使することができる場合もあります。
また、それ以外にも、解約できる場合もございますので、お困りの際は遠慮なくご相談ください。