2023.11.30

新方針で初、外国人親子に在留特別許可

2023年8月4日、出入国在留管理庁から、「送還忌避者のうち本邦で出生した子どもの在留特別許可に関する対応方針について」とし、改正入管法の施行時までに、日本で出生して小学校、中学校又は高校で教育を受けており、引き続き日本で生活をしていくことを真に希望している子どもとその家族を対象に、今回に限り家族一体として在留特別許可をして在留資格を与える方針であると発表されました。

1.前提


 2022年12月末日時点で、在留資格のない送還忌避者4,233人のうち日本で出生した子供(在留資格のない子供)は201人いるが、養育する親に在留を特別に許可する積極事情がない場合には、家族一体として子供も在留特別許可を与えられておらず、在留資格がないまま在留が長期化してしまっている子供が増加しているという問題があります。そのような子供は健康保険に加入できないなど、不安定な状況に置かれています。

2.対象者


 改正入管法の施行時までに、日本で出生して小学校、中学校又は高校で教育を受けており、引き続き日本で生活をしていくことを真に希望している子どもとその家族。
 但し、以下のような親に看過しがたい消極事情がある場合がある場合は除かれます。
 ①入国・上陸の際に不法入国・不法上陸であったこと
 ②偽造在留カード行使や偽装結婚等の出入国在留管理行政の根幹に関わる違反をしたことがあること
 ③薬物使用や売春等の反社会性の高い違反をしたことがあること
 ④懲役1年超の実刑の前科を有していること
 ⑤複数回の前科を有していること

3.政府の新たな方針によって初めて許可が出される


 2023年11月17日、茨城県内に住むスリランカ人の親子に在留特別許可が出されました。
家族一体で在留資格を取得したことにより、親は働くことが可能とり、家族全員が健康保険に加入が可能となります。

4.最後に


 在留特別許可は、本来は退去強制される外国人に対し、法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があるとして、裁量により例外的に与える在留許可であり、許可されるケースとして
①日本人、永住者、特別永住者との法的婚姻が成立している者
②日本人の実子を親権を持って監護養育する者など、
日本人や永住者、特別永住者との結びつきが強いオーバーステイの外国人が多く、両親、子供全員が不法滞在状態である家族が許可されるのは難しい状態でした。

その結果、日本から退去することが確定した後も日本から出国することを拒む方も少なからずおり、不法滞在状態のまま日本で生まれ、長年暮らしているお子さんたちの問題がありました。私も相談を受けたことはありましたが、既に退去強制命令がでている場合はどうすることもできず、お手伝いができませんでした。
そのようなお子さん達が安定して日本で生活できる機会が与えられ、少しでも問題が解決してくれればと願っています。