2024.03.08

確定申告しないとどうなる?追徴課税のリスクとは

1.避けては通れぬ確定申告

今年も、確定申告の季節がやって参りました。法人の方や個人事業主の方は領収書や帳簿の整理にてんやわんやになっていたり、税理士の先生にお願いしているという方もいらっしゃると思います。
ところで、皆様は、追徴課税という言葉をご存知でしょうか?
確定申告を忘れたり、申告漏れがあったりした場合に課される追徴課税ですが、あまり、詳しくは知らないという方も多いかと思われます。
高額な追徴課税が課されると、会社の資産やリソースが削られ、経営に重大な影響を及ぼしかねません。
本記事では追徴課税とはなにか、確定申告を怠り追徴課税が課されるとどうなるかという点についてご紹介いたします。

2.追徴課税とは

追徴課税とは、税金の過少申告、無申告、納付遅延などがあった場合に課される税金のことをいいます。
実際に納めた税金と、本来納めるべきだった税金との差額に加えて、「納付が遅れた」「悪質な所得隠しがあった」などの事実を踏まえ、10%〜50%の金額を上乗せした徴収額が決定され、一種の行政的制裁としての側面も有しています。
追徴課税の対象は、法人や個人事業主だけでなく、確定申告が必要になった場合の個人も対象になります。
ですので、副業や相続税、贈与税などで確定申告が必要になった場合には、しっかり申告して、追徴課税が課されないよう注意が必要です。
ペナルティの一種ですから、追徴課税は税務上の損金として扱えないことも忘れてはなりません。

3.追徴課税の種類

追徴課税には4種類の附帯税があり、附帯税の内容は、以下のとおりです。


•過少申告加算税
•無申告加算税
•不納付加算税
•重加算税


さらに、附帯税とは別に、納期限の翌日から実際に納付した日までの「延滞税」を支払わなければなりません。

⑴ 過少申告加算税

期限内に申告・納税を行ったものの、本来納める税額より少なく納税し、税務署の調査を受けて修正申告をしたり、税務署から申告税額の更正を受けたりした場合に、追加で課される税金のことを過少申告加算税といいます。
過少申告加算税の金額は、本来納めるべきであった税額と、当初申告していた税額の差額の10パーセントとなります。
ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15パーセントとなります。
税務調査を受ける前に、自ら修正申告を行なった場合には、過少申告加算税は課されませんので、気がついたときには、速やかに修正申告しましょう。(参考:国税庁HP No.2026 確定申告を間違えたとき (2)納める税金が少な過ぎた場合や還付される税金が多過ぎた場合https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm)。

⑵ 無申告加算税

  期限内に確定申告を忘れたときや申告をせず、納税を行わなかった場合に課される税金のことを無申告加算税といいます。
法人税の申告は、事業年度の終了日、決算日の翌日から2ヶ月以内に行うものとされており、各年分の無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までの部分は15パーセント、50万円を超える部分は20パーセントの割合を乗じて計算した金額となります。
期限後の申告または、申告をしなかった場合に課される無申告加算ですが、期限後申告であっても、以下の要件を「すべて満たす場合」には無申告加算税は課されません(参考:国税庁HP No.2024 確定申告を忘れたとき(注5)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2024.htm)。
・期限後申告が、法定申告期限から1か月以内に自主的に行われている
・期限後申告に係る税額の全額を法定納期限までに納付している
・過去5年に無申告加算税または重加算税が課されたことがない
・期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていない
  また、災害、交通・通信の途絶その他期限内に申告書を提出しなかったことについて真にやむを得ない事由があると認められたときは、期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があるものとして、無申告加算税は課されません(国税通則法66条1項但書き、参考:国税庁HP 法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/hojin/100703_01/00.htm)。
期限内に確定申告を忘れた場合でも、自分で気が付いたらできるだけ早く申告するようにしてください。

⑶ 不納付加算税

  不納付加算税は、法人や個人事業主が、従業員などから源泉徴収してた所得税を期限内に納付しなかった場合に課される税金です。
原則として給与を支払った月の翌月の10日までに納付することとなっておりますが、一定の要件を満たした法人でその届出をしている場合は、毎年1月と7月の年2回に分けてまとめて納付することも可能です。
納付期限から1月を経過する日までに納付し、過去1年以内において納付期限内に源泉所得税を納付している場合、不納付加算税は課されません。
また、国税通則法第 119条第4項の規定により、不納付加算税の金額が5,000円未満であるときは、その全額を切り捨てることとなっており、課税されません。

⑷ 重加算税

  重加算税は、確定申告の際に、仮装・隠蔽を行うなど不正事実のある悪質な場合に課される税金です。
国税庁のホームページでは、主な不正事実として、以下の場合を挙げています(法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/hojin/100703_02/00.htm)。
ア 二重帳簿(金銭の出納、取引などを隠すために、実態を記入する帳簿とは別に、偽りの記入をした表向きの帳簿)を作成している
イ 帳簿書類の隠匿、虚偽記載等があること
ウ 損金算入又は税額控除の要件とされる証明書その他の書類を改ざん又は 虚偽の申請に基づき当該書類の交付を受けていること
エ 簿外資産に係る利息収入、賃貸料収入等の果実を計上していないこと。
オ 簿外資金をもって役員賞与その他の費用を支出していること
カ 同族会社であるにもかかわらず、その判定の基礎となる株主等の所有株式等を架空の者又は単なる名義人に分割する等により非同族会社としていること
重加算税はペナルティとして税率が高く、過少申告加算税・不納付加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%の税率で課されることとなります。
加えて、過去5年内に、無申告加算税(更正・決定予知によるものに限る。)または重加算税を課されたことがある場合には、更に10%加算され、最高税率は50%となり、最悪の場合、二重帳簿や書類の改ざんなどの不正行為が発覚により、刑事告発され、懲役刑や罰金刑が科される危険がありますから、このような事態は絶対に避けなければなりません。 

4.最後に

追徴課税が課される場合、税金の支払だけではなく、税務調査を始めとした多くの手間も増えることとなりますので、しっかりと収入申告することが大切です。
確定申告に自信の無い方は、お近くの税理士に相談してみると良いでしょう。