2024.08.01

電動キックボードの酒気帯び運転で捕まると前科は付きますか?

電動キックボードの普及により、都市部を中心に新たな移動手段としての利便性が高まっています。しかし、その一方で、ルールを守らない運転者の増加が社会問題となりつつあります。

交通ルールの無視など、安全を脅かす行為が後を絶ちません。

特に電動キックボードは手軽で便利ということもあり安易に酒気帯び運転しかねません。

ここでは酒気帯び(飲酒)運転で捕まった場合、どうなるかを記載していきます。

法的背景、酒気帯び運転の基準

最近街中でよく見かける「電動キックボード」は、道路交通法上の原動機付自転車ですが、下記の規格に該当する場合には、特定小型原動機付自転車として、運転免許を受けずに運転することができます。

・電動機の定格出力 0.6kW以下
・長さ1.9m、幅0.6m以下
・最高速度20km/h以下

ただし、運転免許は不要であっても、電動式のモーターにより走行するものは基本的に、道路交通法並びに道路運送車両法上の原動機付自転車に該当します(道路交通法第2条第1項第10号)。
そのため、道路交通法による酒気帯び運転に関する罰則も当然適用されます(道路交通法第65条第1項)。
具体的には、呼気中アルコール濃度が0.15mg/l以上の場合が酒気帯び運転とみなされます。

捕まった場合の流れ(一般的なイメージ)

現行犯逮捕

– 飲酒検査(呼気検査)によるアルコール濃度測定結果等により、その場で現行犯逮捕がなされることがあります。

取調べ

– 警察署での取調べが行われます。取調べでは、飲酒の状況や運転の経緯について詳細に質問されます。

書類送検

– 取調べの結果、検察に書類送検されることがあります。書類送検は、検察官が事件を起訴するかどうかを判断するための手続きです。

前科がつくかどうか

1. 略式起訴

略式起訴は、100万円以下の罰金または科料が科される比較的軽微な事件に適用される簡略化された手続きです。通常の裁判による有罪判決と同様に前科がつきます。
罰金刑は刑法で定められた正式な刑罰の一つです。

略式命令が出されると、告知を受けた日の翌日から14日間が経過した時点で刑が確定し、前科となります。
前科の記録:略式命令で罰金刑が科された場合も前科として記録されます。

2. 起訴猶予

起訴猶予とは、検察官が刑事訴追を猶予することを意味します。起訴猶予となる場合、形式上は犯罪の事実があっても、検察官が起訴を見送り、被疑者を起訴しないと決定するものです。

前科の記録:起訴猶予となった場合、前科はつきません。ただし、起訴猶予の記録は検察庁内で保持され、再犯時には考慮される可能性があります

3. 正式裁判での有罪判決

正式裁判では、裁判所での審理を経て有罪か無罪かが判断されます。飲酒運転が重大な場合や、再犯の場合には正式裁判に進むことがあります。

前科の記録:有罪判決が確定すると、罰金刑や懲役刑が科され、前科として記録されます。この記録は警察や裁判所のデータベースに長期保存されることとなります。

前科の影響

前科がつくと、以下のような状況で影響を受けることがあります。

1.就職活動

– 特に公務員や特定の職業(金融業界、教育業界など)では、前科が不利になることがあります。

2.海外渡航・ビザ申請

– 前科があると、一部の国ではビザ申請が困難になることや、入国が制限される場合があります。

3.保険契約

– 生命保険や損害保険の契約時に前科が影響することがあります。

前科がつくかどうかまとめ

道路交通法違反で前科が付かないのは、

・交通反則通告制度に基づく反則金が課された場合

・不起訴になった場合

になります。

前者の反則金が課された場合は、比較的軽微な違反(一時停止無視など)が対象になり、重大な違反である「酒気帯び運転・飲酒運転」は対象になりません。

「酒気帯び運転・飲酒運転」で前科が付かないのは、不起訴になるか、無罪判決になるぐらいで非常に重い違反となります。

酒気帯び運転・飲酒運転は、「前科」が付くと思ってください。

酒気帯び運転は、永遠の後悔につながります。大切な人の安全、そして自分自身の未来を守るために、絶対に避けるべき行為です。一人ひとりが責任ある選択をすることが、互いの命を救う第一歩です。

一度の過ちが、取り返しのつかない結果を招く前に酒気帯び運転は絶対にやめましょう。

 

参考)電動キックボードに関連する交通違反・事故の発生状況(警視庁)

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/newmobility0503.pdf

 

参考)履歴書の記載

履歴書に前科を記載する必要があるかどうかは、法律上の義務はなく、応募先の企業や団体のポリシーによるところが大きいです。

一部の企業や公的機関では、前科の有無を確認することがあります。特に、金融業界、公務員、教育業界などは厳しくチェックされることがあります。

前科の有無を問われていない場合や、特に記載が求められていない場合は、記載しないこともあります。ただし、面接などで質問された際には正直に答える準備をしておくことが重要です。