2023.09.14

同一労働同一賃金の原則について新判例!(最高裁令和5年7月20日判決)

原審である名古屋高裁は、定年後の再雇用である嘱託社員について、「定年前基本給の6割を下回る部分については、労働契約法20条に違反する不合理な相違である」と述べていました。

これに対し最高裁は、「正職員と嘱託職員である被上告人らとの間で基本給の金額が異なるという労働条件の相違について、各基本給の性質やこれを支給することとされた目的を十分に踏まえることなく、また、労使交渉に関する事情を適切に考慮しないまま、その一部が労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるとした原審の判断には、同条の解釈適用を誤った違法がある」と述べ、事件を名古屋高裁に差し戻し、追加の審理を命じる判決を下しました。

最高裁は、正社員と嘱託社員との給与格差が6割程度なら大丈夫で、それ以下ならダメなどと一律に決まるものではないと考えていると思われます。

企業としては、定年後の再雇用について、「退職前の基本給と再雇用後の基本給の性質・目的」を踏まえて、適正な報酬形態を構築し、かつ、しっかりと「労使交渉」を行うことが重要でしょう。

※  なお現在は、労働契約法20条は削除されていますが、同様の条文がパートタイム・有期雇用労働法8条に引き継がれています