2023.09.21

労働力不足と労働関係法令の改正

1.人材不足の現状


 先日のネットニュースで、「<この国が縮む前に>タクシーなどの外国人運転手を拡大」という見出しが目に入りました。深刻なドライバー不足を外国人で賄うべく入管法の改正が急がれています。
 確かに、最近顧問企業の皆様から企業規模・業界問わず一様に採用ができない旨の話を伺います。何が起きているのでしょうか。

2.法律の対応

 思えば、法律の世界でも、この10年前後で、正社員以外を対象とする労働関係法令の改正が相次いでいます。


例えば、

  • 平成25年<高年齢雇用安定法>により、企業は65歳までの雇用確保が義務付けられました。
  • 前年の平成24年<労働契約法>により、最高裁判例で確立した「雇止め法理」が法定化。
  • 続く平成25年、同じく<労働契約法>により、①5年超の無期転換ルールが施行されると同時に、
  • 同法にて②有期契約労働者と無期契約労働者の間の不合理な差別の禁止ルールが導入されました(この法律の趣旨は、令和2年に<いわゆるパートタイム・有期雇用労働法>により、同一労働同一賃金原則として改めて規定し直されました)。
  • 令和3年には、70歳までの就業機会の確保を目的とした努力義務の追加があり、
  • 来たる令和6年には、無期転換ルールや雇止め法理による労働者保護をより強化すべく、労働条件明示の方法が大幅に変わります。

3.最後に

 これらは、少子高齢化に伴う労働人口減少の解消に向けた、高齢者・非正規社員の活躍推進のための施策ですが、冒頭のニュースやお客様の採用難の実態から見て、現時点で「既に」深刻な労働力不足にあり、もはや推進というより必須の対策と言えるのかもしれません。
 企業は今後益々、高齢者・非正規の活用への対応を迫られますが、これらは収入の減少や契約更新・打ち切り等、慎重を期すべき事柄を含みます。近年、再雇用や有期契約労働者にまつわる重要判例も多数出ているため、それらを参考にしつつ日々の労務管理を実践していく必要がありそうです。運用についてのお困りごとは、弁護士・社労士が在籍する当法人へご相談下さい。