2024.03.23

ドラゴンボールの遺産は誰のものか

2024年3月1日、「Dr.スランプアラレちゃん」や「ドラゴンボール」人気漫画などの原作者であり、ゲーム「ドラゴンクエスト」のキャラクターデザインも手がけられた鳥山明先生が急性硬膜下血腫のため、天国に旅立ちました。
68歳とまだまだご活躍が期待される中での急逝であり、本当に残念でなりません。
一方で、100億円以上ともいわれている作品の印税収入や著作権が相続されるのではないかという声もお聞きしますが、実際はどうなのでしょうか。
この記事では、漫画制作プロダクション(法人)における著作権の管理・帰属と相続について、ご紹介いたします。

第1 著作権の帰属

1 著作権は相続の対象となりうるか

著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したもので、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する作品を指し、「Dr.スランプアラレちゃん」や「ドラゴンボール」などの漫画作品は著作物にあたります。
著作権は厳密にいうと様々な権利の集まりであり、大きく二種類に分類されます。
著作者の人格的利益を守る『著作者人格権』と、著作物を複製する複製権や、著作物をその複製により頒布できる頒布権、インターネットやテレビ放送を利用して公衆に送信する公衆送信権などの『著作財産権』です。 
相続の対象となるのは著作財産権であり、鳥山明先生のご家族に、作品の著作財産権が相続されると思われる方もすくなくないでしょう。
士業のホームページの中には、個人の相続として説明している方もいらっしゃいます。


2 著作財産権は必ずしも、作者個人に帰属しているとは限らない。

ドラゴンボールなどの漫画作品の単行本をみてみると、©というマークと「バード・スタジオ」という表記を見たことがないでしょうか。
作家や漫画家などが節税対策や権利関係の管理のため、会社を立ち上げて法人化することがあり、「バード・スタジオ」は、鳥山明先生が1982年5月に設立した非上場の株式会社です。
©の表記は、「著作権(copyright)」を表す記号であり、法的に必須の表記では無いものの、記載された著作物が、著作権の保護を受けることをアピールするものとして、表記の横に著作権者の表示と著作権の発生した年号を記載します。
バード・スタジオが、鳥山明先生の全ての著作物の著作権を管理しているかは、明らかではありませんが、鳥山明先生が、バード・スタジオに移して管理させていた著作物の著作権は、バード・スタジオに帰属し、直接、相続財産に含まれることはありません。
同社が管理していた印税収入も、相続財産からは除かれます。

第2 相続財産の対象は株式

一方で、バード・スタジオは株式会社であり、鳥山明先生が保有している同社の株式は、相続財産の対象として、ご家族に相続されることとなります。
この場合、株式の財産評価としては、会社の規模や、株主の構成に応じて、次の3つの方法により評価されることとなり、総財産から、基礎控除額(3,000万円+(600万円×法定相続人の数))や配偶者控除をはじめとする各種控除を除いた額に対して相続税が課されることとなります。

⑴ 純資産価額方式

純資産価額方式は、その会社が解散したと仮定したときに、株主に配分される額で評価する方法であり、原則として小会社の株式評価に採用される方式です。

⑵ 類似業種比準方式

類似業種比準方式とは、評価する会社と事業内容が似ている上場企業の株式の株価を基に、評価する会社の一株当たりの「配当金額」、「利益金額」および「純資産価額(簿価)」の3つで比準して評価する方法であり、原則として、大会社は、類似業種比準方式により評価します。


⑶ 配当還元方式


同族株主以外の株主が取得した株式は、配当還元方式で評価します。配当還元方式とは、その株式を所有することによって受け取る一年間の配当金額(相続開始前の2期中の平均値)を、一定の利率(10パーセント)で還元して元本である株式の価額を評価する方法です。

第3 最後に

いかがでしたでしょうか。鳥山明先生に限らず、被相続人が生前事業を営む場合には、その事業形態に合わせて、相続の対象や内容だけでなく、課税される相続税も変わってきますので、相続に関してご自身で良く分からないようであれば、相続に詳しい専門家に相談するのが一番です。
当事務所は、法人事件も取り扱っているため、相続に関するご相談も、被相続人の事業形態に合わせて柔軟に対応することが可能です。
ご心配のことがございましたら、お気軽にご相談下さい。

 

鳥山明先生のご冥福を心よりお祈りいたします。
以上